白鞘について・・白鞘は別名休め鞘ともいい戦の後、次の合戦に備えて研磨し保管することを目的として作られるようになりました。いわば浴衣のような物です。拵えは正装と表現できると思います。

鞘の材料

拵えも白鞘も朴の木が古来より用いられています。昔は日本全土に多数あり入手が容易であったことがあげられ、他の木に比べてヤニが少なく刀身を保護するのに最適であったからです。特に木曽産などが好まれたようです。ただ、鞘などに加工する場合は何年間も自然乾燥させなくてはいけません。これは乾燥が十分でない場合は後に狂いがでるからです。

白鞘の製作工程

木取り・・だいたい刀身の形に合わせて切り出すことです。板の上に刀身を置き、長さ、身幅、反りなどに注意して切り出す部分に線を引きのこぎりで切ります。さらにのこぎりで真ん中から2つに切って面をかんなで削り形を整えます。

特に木地の肌が美しい場所を鞘に用いるので板1枚から刀数本分しか取れず大変貴重です。

掻き入れ・・2枚の板に刀身が収まるように繰り抜く作業のことです。はばきが付いた状態で板の上に刀身を置き、輪郭を忠実に鉛筆などで書いていきます。この後で掻き入れに入ります。ノミと小刀で削る訳ですがノミでは大まかに削り、あとで小刀で整えます。この作業は横にならすので横掻きとも言います。柄も同じ作業で製作されます。最後にはばきの収まる、はばき袋を仕上げて掻き入れは終了します。

すぐに糊付けするのではなく2枚の板を紐で結わき10日ほど様子をみて狂いや鞘当たりがないか調べます。

糊付け・・この工程で用いる接着剤を続飯(そくい)と言います。白米と水を練り合わせて作ります。特徴は接着力があり湿気を呼ばず、刀身に付いても重大な悪影響を与えないことです。また一定の力を加えると簡単に剥がすことができるので。白鞘の掃除や狂いが出たときの修繕(鞘割り)が容易に出来ます。糊付け後は鞘をぐるぐるに紐で縛り乾くのを待ち、再度、当たりが無いか調べます。

現代の接着剤でしたらこのようにいきません。鞘が割れたからといって化学接着剤を使用するのは厳禁です。白鞘が使用不能になります。

荒削り・・厚みを考えるために鞘に刀身をいれて肉置きを決めて鯉口の形を整えます。輪郭が決まれば鯉口を基準に八角形に削り、仕上げ削りを行い、トクサで磨いて完成です。

拵えの場合は更に段階を踏んで製作されます。