ここでは主に入札鑑定に使う用語と旧国名一覧、当り同然の一覧を掲載しています。

入札鑑定の行われ方

入札鑑定の行い方は真正の鑑定刀をだいたい5本くらい用意して茎に柄を付けたまま展示する、鑑定者は自由に手にとって観察して作者名等を用紙に記入して判定者に渡す。判定する者は刀剣に精通した者が良い。簡単な入札鑑定としては1本だけ作者が明らかにされていて残りの鑑定刀から同じ作者を選ぶ方法もある。いずれにせよ、非常に参考になる勉強方法であると思う。江戸時代などは刀の見識も武士のたしなみとされていたようである。

入札の回答

当(あたり)作者銘を的中した場合

同然(どうぜん)個名的中ではないが師弟や兄弟、親子などの最も近い関係の入札で当りと同然であるという意味。

能(よく)国入り能候の略、同じ国の刀工に入札したが、系統が違うという意味

通り(とおり)通り能候の略、同一街道ですが、国が違う刀工ですという意味

否(いや)国も街道も全く関係ありませんという意味

時代違(じだいちがい)時代が違う場合例えば古刀を新刀に入札したなど

否縁(いやえん)国、街道も違うが流派が当たっている場合、またはその傍流だった場合

縁(えんあり)鑑定刀の末流だったり、遠い刀工に入札した場合、現在はかえってややこしくしてしまうようなので使わないようである。

否筋(いやすじ)属す流派は違うが師伝が同じ場合

本国能(ほんごくにてよくそうろう)刀工の移動に関係したもので本国は正解ですのでその国から探して下さいという意味

出先能(でさきにてよくそうろう)例えばこの刀工は武蔵国に移動しているので武蔵国から探して下さいという意味

鑑定上のポイント

体配、鎬、鉄、地肌、刃文、帽子、沸、匂、樋等などでいずれも個人や流派のセオリーがありますので(一部例外がありますが)総合的に判断してみて下さい。正解することが目的ですが、当たらなくても勉強になります。まだ参加したことがない方は機会がありましたら是非参加してみて下さい。詳しく説明すると以下のようになります。

  1. 体配、刀の姿は時代によって反りや重ね、身幅すべてが違うし、系統や流派で違う。これには戦闘様式や風俗などの要因からきているので姿で大体の時代区分ができる。ただし写し物には注意が必要。

  2. 鉄の色や性質も重要で産地によって色合いが異なるが研磨が発達した今日では鉄質で見当をつけるのはやや難しいかもしれない。

  3. 地肌も流派によって異なるので鉄質とともに吟味する。

  4. 刃文にも流派や個人の癖がでるのでよく吟味する。

  5. 帽子には流派や個人の癖が非常に良く出る。しかも刀工の技量がよくでるので上手い下手がわかる。

  6. 沸にも細かいもの、荒いもの、強弱、匂の深いもの、明るいもの、暗い物があり流派、系統、技量がわかる。

  7. 鎬の高いもの、低いもの、広いもの、狭いものがあり流派がわかる。

  8. 樋や彫り物の特徴で時代や流派に差があるのでみどころの一つである。

  9. 品位は優れた刀からは自然とあふれ出るものである。

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