拵えの修理と研磨後の実例を紹介致します。工作は高いと思う方が多いのですが、その刀剣にあった工作を行えば健全に保つことができます。刀は鉄でできている以上、錆にとても弱いです。赤錆が出ている場合には腐食が進まないうちになるべく研磨してあげましょう。 研磨依頼をしたことがない方は必見です。「本当にこうなるんだ」と参考になれば幸いです。また工作しようか悩んでいる方には一押しになれば良いと思います。

 

拵えの修理
時代拵えも刀剣と同じように大変貴重な物です。ボロボロだからと諦める前に専門家に相談しましょう。きっと綺麗に修理してくれるはずです。古い拵えが非常に少ないのは昔はこうなると捨てて新調していたからです。修理されたりしていたものはごく少数です。よって大部分の時代拵えは幕末の頃、製作された物です。拵えの楽しみは工芸として優れていること以外に、当時の注文主の人物像が浮かんでくることだと思います。武用一筋の造りの場合は剣豪だったなとか、変り塗りだったら洒落者であったなどです。

工作前の拵え

これはうぶだしの拵えです。拵えの年代は幕末です。長い間、忘れられていた為に手入れが全くされていなかったと推測できます。漆は剥落しており、木地が見えています。鞘は塗り鞘もご飯から作った糊で接着してあります。漆が剥がれてこのような状態になると糊が弱くなり鞘が割れてきます。(漆は綺麗に見せる為と同時に強力な保護材でもあります)鯉口もボロボロで緩くなっていました。

工作後の拵え(鍔ははずしてます)

撮影状況が違うので色合いが若干異なりますが同じ拵えです。以前は呂色でしたが工作にあたり石目地塗りにしました。あんなボロ鞘であったとは考えられない出来です。無論、割れ、鯉口もしっかり修理されています。

最初の状態と比べて下さい。今回、柄は綺麗でしたので巻き直しはしてません。よほど巻が痛んでいない場合は現状保存に努めて下さい。時代巻も貴重です。

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